大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和31年(オ)640号 判決 1958年2月25日

上告人 吉光示夫

被上告人 吉光喜久子

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人椢原隆一の上告理由について

原審の認定した事実によれば、本件は民法七七〇条一項五号にいう「婚姻を継続し難い重大な事由あるとき」にあたるものと解するのが相当である。而して、かような重大な事由にあたる事態を招いたことにつき、被上告人にも多少の落度があつても、その離婚請求を認容するに妨げとなるものではないと認められる。(所論の判例はいずれも本件に適切でない。)したがつて原判決に違法な点はなく、所論は採るを得ない。

よつて、民訟四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 島保 裁判官 小林俊三 裁判官 垂水克己)

昭和三一年(オ)第六四〇号

上告人 吉光示夫

被上告人 吉光喜久子

上告代理人椢原隆一の上告理由

原判決の法令違背性

(一) 被上告人自らの行為によつて婚姻を破綻させ、之を継続し難い状態に陥らせた場合、離婚を求め得ない。(最高裁昭和二四年(オ)第一八七号)

(二) 上告人の行為が行きすぎとするも、妻の不貞(又は不貞につき深い疑を持たれる行為)に対し一時憤怒の余りに出た行為である。(大審院明治三七年(オ)第三二四号)

(三) 本件上告人の妻に対する行為には右のように正当な理由が存する。(大審院明治三八年(オ)第一一一号、同明治四〇年(オ)第一〇号)

以上

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例